3.電磁波発生メカニズムの比較

電磁気作用が近接作用的であることを示す現象は、電磁波だけです。

つまり、マックスウェル方程式が近接作用的な解釈しかできなくなるのは、

電磁波という現象においてだけなのです。

そこで、電磁波の発生メカニズムについて、

マックスウェル電磁気学と仮想力線電磁気学とを比較してみましょう。


マックスウェル電磁気学では、電磁誘導によって生じた電磁場から、

電磁誘導によって電磁場が生じるという連鎖現象によって、

電磁波が発生するとしています。


これに対して、仮想力線電磁気学では、場は実在性のないものなので、

電磁誘導によって生じた電磁場から電磁場が生じることはありません。

したがって、上記のような連鎖現象は起こりません。

では、どのようにして作用が伝わっていくのかというと、

電磁誘導によって作用を受けた電荷が運動することによって生じた電磁気作用が、

別の電荷に作用を及ぼし、その電荷が運動することによって生じた電磁気作用が、

また別の電荷に作用を及ぼし…、というふうに作用が伝わっていきます。

これがあたかも近接作用的に見えるのです。

それはともかく、仮想力線電磁気学では、作用を媒介するのが、

空間ではなく、物体(を構成する荷電粒子)なのです。

そして、ここが、マックスウェル電磁気学と大きく異なるところです。


ちなみに、作用の伝搬に関わっている物質を、疑似エーテルと呼び、

それによって本来、遠隔作用であるはずの電磁気作用が、近接作用的になる現象を、

疑似近接作用といいます。


もちろん、光源と受光体の間にある物体だけが、疑似エーテルになるのではありません。

厳密には、全空間の全物質が疑似エーテルの役割を果たすのです。

このように、遠隔作用では、見た目は単純な二体問題でも、

複雑な多体問題になってしまうのです。

その理由は、

  1.特定の場所や物体だけに電磁気作用を及ぼすことができない

  2.電磁気作用の到達範囲は無限大である

ということにあります。


とはいえ、多体問題は厄介です。

まして、全空間の全物質について考えなくてはならないとなると、

まったく非実用的です。

そこで、疑似近接作用的な現象に関しては、仮想エーテルというものを考えます。

つまり、光源と受光体の間に存在し、

全空間の全物質からなる疑似エーテルと等価の働きをするエーテルの存在を、

仮想的に考えるのです。

数式の上では、全空間の全物質の影響を、誘電率や透磁率に丸めるわけです。

これにより、複雑な多体問題を、単純な近接作用問題に、近似的に置き換えることができるわけです。

そして、電磁場を実在性あるものとして扱うことができるようになり、

電磁誘導によって生じた電磁場から電磁場が生じるといった考え方ができるようになります。

こうして、マックスウェル電磁気学とうまくつながるわけです。


ただし、あらゆる問題で仮想エーテルの考え方が通用するわけではありません。

なぜなら、(疑似)近接作用的にならない現象も沢山あるからです。

そうした現象については、やはり本来の遠隔作用の問題として考えなくてはなりません。

つまり、こうした現象において、マックスウェル電磁気学は通用しなくなるわけです。

にもかかわらず、近接作用に固執すると、量子論が必要になってきます。

逆に言うと、近接作用を捨て、遠隔作用を受け入れると、量子論は不要になるということです。

こうなってくると、もはや近接作用に固執する義務は、どこにもないでしょう。

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