1.マックスウェル方程式を遠隔作用的に解釈する

マックスウェル方程式は近接作用を前提とした方程式ですが、

よく見ると、部分的には遠隔作用的な特徴をも有していることがわかります。

何はともあれ、マックスウェル方程式を見てみましょう。


  div = ρ         (1・1)

  div = 0         (1・2)

  rot = - ∂/∂t    (1・3)

  rot =  + ∂/∂t  (1・4)


この四本の式のうち、(1・1)式と(1・2)式は、時間に関係のない式です。

また、(1・4)式の左辺と右辺第1項との関係も、時間には関係のない式です。

時間に関係しないということは、

どんなに離れていても作用が所要時間ゼロで及ぶということ、

すなわち、これらの現象は遠隔作用であるということです。

このように、マックスウェル方程式も、一部の電磁気作用については、

遠隔作用であるとしているのです。


では、残りの現象、すなわち、(1・3)式、及び、

(1・4)式の左辺と右辺第2項との関係は、どうでしょう?

これらは時間に関係する現象ですが、

実は距離に関係しない現象であることがわかります。

ということは、これまた遠隔作用的な現象であることがわかります。

このように、マックスウェル方程式(で表される現象)は、

遠隔作用的なものとして解釈できるのです。


では、なぜ、マックスウェル方程式は近接作用の式とされるのでしょうか?

遠隔作用的な現象から、なぜ、近接作用的な現象が生じるのでしょうか?

それは、電磁誘導によって生じた電磁場から、次々と連鎖的に電磁場が生じるからです。


(1・3)式と、(1・4)式の左辺と右辺第2項の式が示すように、

電磁誘導によって生じる電磁場は、もとになる電磁場の時間的変化によって生じます。

したがって、電磁誘導によって生じる電磁場の変化は、

もとになる電磁場の変化よりも遅れます。

電磁誘導によって生じた電磁場から(電磁誘導によって)生じる電磁場の変化は、

それよりもさらに遅れます。

こうした様が波として認識され、近接作用的現象のように見えるのです。


こうした電磁誘導の連鎖現象を可能にしているのが、『場の実在性』なのです。

つまり、マックスウェル電磁気学では、2種類の電磁場、すなわち、


  a.電荷や磁荷や電流によって生じる電磁場
    ((1・1)式、(1・2)式、(1・4)式の左辺と右辺第1項)

  b.電磁誘導によって生じる電磁場
    ((1・3)式、(1・4)式の左辺と右辺第2項)


という2種類の電磁場を、同等に扱うのです。

これによって、上で述べた電磁誘導の連鎖現象が可能になるのです。


このお陰で、電磁波が説明できるわけですが、一方で矛盾も生じます。

それが『第一部 相対論は光崇拝教のオカルト科学だ』でも述べた、

慣性運動する電荷や磁石の問題なのです。

電荷や磁石が運動すれば、電磁場が変化します。

そうなれば、その周囲に電磁場が生じることになります。

そうして生じた電磁場も一定ではないので、そのまた周囲に電磁場が生じることになります。

そして、また、その電磁場も一定ではないので、そのまた周囲に電磁場が…、

という連鎖が起こります。

これにより、電荷や磁石が慣性運動すると、電磁波が発生することになります。

電磁波が発生すれば、慣性運動する電荷や磁石は、発生した電磁波のエネルギーの分だけ、

運動エネルギーを失わなければなりません。

つまり、やがては止まってしまうことになります。

ところが実際には、こんなことは起こりません。

そもそも、どの系に対して止まればいいというのでしょうか?


このように、マックスウェル電磁気学には、致命的な矛盾があるのです。

そして、その原因は、上で述べたように、2種類の電磁場を同等に扱っている点にあります。


仮想力線電磁気学では、この2種類の電磁場を区別します。

つまり、上で述べたbのタイプの電磁場を実在性のないものとしているので、

連鎖は起こらず、このような矛盾は生じません。

もっとも、連鎖がなければ、電磁波のような近接作用的現象が説明できなくなりますが、

それを可能にしてくれるのが『疑似近接作用』という考え方なのです。


それはともかく、

  『2種類の電磁場を区別すれば矛盾が解消されるのなら、
   マックスウェル方程式でも、そうすればいいじゃないか!』

と言われるかもしれません。

確かに、そうすれば上の矛盾は解消しますが、なお、

ローレンツ力が説明できないという欠陥が残ります。

したがって、力線の理論の方が良いと言わざるを得ません。

それに『第二部 仮想力線電磁気学』で示したとおり、

力線の理論からは、マックスウェル方程式を導くことが可能です。

さらに、相対性や遠隔作用のことを考えると、やはり、力線の理論の方が合理的なのです。

続・仮想力線電磁気学(目次)へ