第3章 遠隔作用と疑似近接作用

・エネルギーの授受(2体)−相手が必要(遠隔作用の特徴)

 これまでの説明で、力線の理論のすばらしさは十分理解していただけたと思う。だが、
第2章で述べた力線の理論は近接作用的なものである。一方、仮想力線電磁気学は遠隔作
用の理論である。したがって、この間のギャップを埋めなくてはならない。そのためには、
遠隔作用によって近接作用的な現象が説明できればよい。そうすれば、第2章で述べた力
線の理論(近接作用)は、仮想力線電磁気学(遠隔作用)の近似と説明され、両者はうま
くつながる。この第3章では、本来遠隔作用であるはずの現象が、見かけ上、近接作用的
な現象に化けてしまう様を説明しよう。
 だが、そのためには、遠隔作用についてもっと知っておかなければならないことがある。
それは、作用の伝わり方と、運動量やエネルギーの授受の仕方である。遠隔作用と近接作
用とでは、これらの点が大きく異なるのだ。この違いを説明するために、わかりやすい例
として、まず、下図のような2体問題を考えよう。



 近接作用の場合は、まず作用が物体Aから、空間に存在する媒体(エーテル)に伝わる。
作用は、この媒体を伝わり、物体Bに伝わる。このため、作用が伝わるまでに時間がかか
る。しかし、それ以上に重要なことは、物体Bが存在しようとしまいと、物体Aは作用を
媒体に伝えた分だけ(運動)エネルギーを失うということである。したがって、物体Aと
物体Bだけを考えると、運動量やエネルギーの保存則が成り立たないことである。
 これに対し、遠隔作用の場合は、物体Aから物体Bへ直接作用が伝わる。このため、作
用が伝わるのに時間がかからない。しかも、物体B、すなわち、作用を受けるものが存在
しなければ、物体Aは(運動)エネルギーを失うことはない。つまり、遠隔作用では媒体
が存在しないので、この第三者に運動量やエネルギーを奪われることがない。したがって、
物体Aと物体Bとの間で、運動量やエネルギーの保存則が成り立つのである。
 この違いは、極めて重要である。別の言い方をするならば、遠隔作用では、作用を及ぼ
し合う二つの物体が、離れていながら、あたかも直接出会って完全弾性衝突をしたかのよ
うに振る舞うのである。

 ついでながら、近接作用では、媒体(空間)に運動量やエネルギーを奪われてしまう。
このため、電子が原子核の周りを回ると、電子はエネルギーを失って、原子核に吸い込ま
れてしまう。近接作用の信者たちは、このことを恐れ、『とびとびの電子軌道』という恣
意的で御都合主義的な仮説をでっち上げた。遠隔作用では、この問題に関する限り、そん
なものは必要ないことがわかるだろう。

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