top
>アメリカのえほん
 

モーリス・センダック Maurice Sendak
 
1928年、ニューヨーク、ブルックリン生まれ。両親は共に、第1次世界大戦前にワルシャワ郊外の小さなシュテートル(ユダヤ人部落)からニューヨークへの移民。兄(ジャック・センダック)と姉を持つ、3人目の末っ子。1946年ラファイエット高校を卒業。マンハッタンにあった窓装飾会社タイムリー・サービス社に入る。倉庫部で2年勤めた後、飾り窓の設計部に移動となるが1948年退社。失業中、除隊したばかりだった兄と精巧な木製玩具を作り、F.A.O.シュワーツ玩具店に持ち込む。それを見た窓飾り専任者がデザインと色付けを気に入り、店の窓飾りの製作助手に誘う。そこで3年、昼は玩具店で働き、夜間はアート・ステューデンツ・リーグで油彩、写生、構図のクラスに通う。当時、シュワーツ玩具店は優れた児童図書部門を持っており、1950年頃までには、その児童図書の購入責任者フランセス・クリスティーと親しくなり、彼女が、ハーパー・アンド・ブラザーズ社の児童図書編集者アーシュラ・ノードストロムにセンダックを紹介。彼の絵を見た彼女は、早速マルセル・エーメの短篇集「おにごっこ物語」の挿絵を依頼。以降、イラストレーターへの道が開かれていった。
「センダックの世界」(セルマ・G・レインズ著 渡辺茂男訳 岩波書店)より
 
1964年「Where The Wild Thigs Are」でコルデコット賞受賞。
次点(
Honor Book)も次の7作品で受賞。Outside Over There(1982)、In the Night Kitchen(1971)、Mr. Rabbit and the Lovely Present(1963)、Little Bear's Visit(1962)、The Moon Jumpers(1960)、What Do You Say, Dear?(1959)、A Very Special House(1954)
1970年国際アンデルセン賞画家賞受賞
 
センダックの絵本 冨山房

かいじゅうたちのいるところパペット
りとるまみいさんに
かいじゅうたちのいるところグッズ 楽天市場    
icon icon  7net

センダックの世界 新装版
セルマ・G・レインズ作 渡辺茂男訳 情報など 岩波書店 
2010年1月
 
1982年版の新装版。
わたしは旧版のほうを図書館でお借りして読んでいたのですが、新装版が出版されたのですね。
この本が書かれるまでの、センダックさんのお仕事、歩みなどがまとめられています。重量感のある豪華本です。
センダックさんの伝記的な要素と、作品紹介・解説の要素、ともに持っている感じで、写真やイラストレーションもしっかりと添えられています。見応え読みごたえのある充実の内容です。
amazon

 
やぎと少年
ZLATEH THE GOAT AND OTHER STORIES
アイザック・B・シンガー作 センダック絵 工藤幸雄訳 岩波書店
©1966 1979年 2007年6月復刊 小学5・6年以上 洋書の中の絵など amazon
 
ユダヤ教のラビ(指導者)を父に持ち、東ヨーロッパに住むユダヤ人の共通語であるイディシ語で作品を作り続け、ノーベル文学賞を受賞している作者シンガーさんが、幼い頃、祖母や母から聞いた話を元にして描いた7つの小さな物語が収められている、この本。
とんまな人たちのお話し、悪魔が出てくるお話し・・・。
昔話が元になってはいるけれど、どれもとても深い味わいがあって、しかも読みやすくて。それは、小さなやさしい文芸作品です。
そういった味わいを感じることができるのも、翻訳の方のおかげでしょう。読むほどに、とても丁寧に、一文一文、言葉や表現が選び取られていることを感じます。
 
ワルシャワからニューヨークへと渡ったシンガーさんと同じく、ワルシャワのユダヤ人の町からニューヨークへの移民だった両親を持つセンダックさんが描いた挿絵も、お話の魅力にあまりにもぴったり。
神秘的で、時に恐ろしく、少し悲しみも漂っているような、でもほんのりとあたたかみやおかしみもにじむ、陰影のある美しい黒白の線描画。17枚入っていて、どれも1ページ分の大きさです。
 
どのお話も、読むほどに味わいの深まる物語ですが、特に一番最後の「やぎのズラテー」は、読み終わったとき、じんと涙が浮かんできてしまいました。
 
まえがきに、ばかげた戦争や残酷な迫害によって<おとなになる機会を持てなかったおおぜいの子どもたち>に、この本を献げる、と、そして、皆さん自身が「世界中の良い子どもたちみんなを、かわいがってほしい」とあります。
物語の底に、悲しみや慈しみ、人や命を愛しく思う心を感じるのは、そのためなのかもしれません。
うつくしい本だと思います。
 
22.5×16cm 134p 厚さ1.7cmくらい
amazon
 りとるまみい   
かいじゅうたちのいるところ
WHERE THE WILD THINGS ARE
モーリス・センダック作 じんぐうてるお訳 冨山房
©1963 1975年12
コルデコット賞受賞 中ページなど オンリイワン絵本(洋書)   絵本ナビさん
 
あるばんマックスは、おおかみのぬいぐるみを着て、いたずらをして大暴れ。
おかあさんにしかられて、寝室にほうりこまれると、そこににょきにょき木が生えて、あたりはすっかり森や野原。そこでマックスは船に乗り、かいじゅうたちのいるところへ・・・
 
かいじゅうたちは怖そうだけど、なんだかゆかい。怖さを感じるはずの闇の中なのに、楽しそう。
WILD THINGS ・・・ 言葉とか理屈でくくれない、この感じ・・・。
 
闇のテイストと楽しいテイストが上手に配合されて、ほとんど奇跡的な読み心地。魅力的なイラストもすてきで、読み終わりもやさしくあたたか。人気があるのも、わかります。
amazon
icon icon 7net

 
うさぎさんてつだってほしいの
MR.RABBIT AND THE LOVELY PREZENT
シャーロット・ゾロトウ文 モーリス・センダック絵 こだまともこ訳 冨山房
 
「うさぎさん、てつだって ほしいの」と、おんなのこが いいました。
 
今日はお母さんの誕生日。けれど、何もあげるものがない女の子は、うさぎさんに、プレゼント探しを手伝ってもらいます。
 
この絵本の「文」は、ほとんど全て、女の子とうさぎさんの会話です。背景や、時間、その他いろいろな説明は、いっさいありません。
それを、センダックさんは、美しい森を背景にした、おそらく朝のうち、女の子がうさぎさんに出会ってから、プレゼントができあがり日が暮れ夜になるまでの、1日として描いていきます。
 
森の木々から零れ落ちてくる陽射しや、木陰、涼やかな木々と風のささやきまでも、肌に感じとることができるようなイラストが、すばらしいです。
うさぎさんも、手伝ってくれる存在らしく、のっぽでスマートなところも印象的。
 
コルデコット賞オナー賞受賞
amazon
icon icon 7net

きみなんかだいきらいさ
LET’S BE ENEMIES          copyright 1961
ジャニス・メイ・ユードリー文 モーリス・センダック作 こだまともこ訳 冨山房
中ページなど amazon(洋書) キュリオブックスさん(洋書の古本) 
 
「ジェームズと ぼくは いつも なかよしだったよ」「でも きょうはちがう。ジェームズなんか だいきらいさ」
 
いつもはとびきりの仲良しなのに、今日は、ふとしたことから大ゲンカ。
ぼくは、ジェームズのいやなところを次から次へと一生懸命言っていきます。・・・
 
小さなサイズの絵本ですが、センダックさんは、その画面を効果的に使って、ジェームズとぼくとの「距離」を表現します。本当に、上手。
 
いっぱい嫌なところをあげてはみたけれど、最後は、ちょっとしたことから仲直り。とびっきりの仲良しにもどれます。
amazon

 
そんなときなんていう?
WHAT DOU YOU SAY,DEAR?     copyright1958  
セシル・ジョスリン文 モーリス・センダック絵 たにかわしゅんたろう訳 岩波書店
1979年 
中ページなど キュリオブックスさん(洋書古本) 
 
「わかき しんし しゅくじょの ための れいぎさほうの ほん」
 
町の真中で、赤ちゃんゾウを配っている紳士に会いました。紳士は君を赤ちゃんぞうに紹介する。そんなとき、なんていう?・・・答えは、「はじめまして。」
お城の外で、恐ろしい龍が赤い煙を吹きかけた。その時、勇敢な騎士がかけつけて、りゅうの首をちょんぎった。そんなとき、なんていう?・・・答えは、「どうも ありがとう。」 ・・・
 
なんとも奇妙なシチュエーションの質問。でも、答えは、とってもまっとう。日常のごく簡単なごあいさつ。というのもおかしくて、イラストもすてきな絵本です。
イラストの色は、モノクロにブルー。それだけだけど、画面はいきいきとしていて、とってもかわいいのです。
ちょこちょこっと登場している白いわんちゃんは、センダックさんの愛犬、ジェニーちゃんかな。
 
コルデコット賞オナー賞受賞
amazon

シャーロットとしろいうま 
CHARLOTTE AND THE WHITE HORSE
ルース・クラウス文 モーリス・センダック絵 こだまともこ訳 冨山房
©1955 1978年 
中ページなど 
amazon(洋書)  フィネサブックスさん 

 
うまのなまえは、あまのがわ。うまごやでうまれました。ミルクみたいにまっしろなこうま。
シャーロットは、このこうまがだいすき。
だけどある日、お父さんが売ってしまおうといいました。シャーロットは、わたしがちゃんとお世話をするからと、お父さんに売らないようにお願いします。・・・
 
繊細でうつくしい小さな絵本です。
細い月の光に照らされるような、淡い二人だけの世界。みんなに囲まれて喜びにあふれる世界。
どちらもとても美しくて、まるで絵が詩そのもののよう。
センダックさんの絵の力に、はっとしました。
amazon

 
ケニーのまど
KENNY'S WINDOW
モーリス・センダック作 じんぐうてるお訳 冨山房 洋書の中の絵 amazon
 
ケニーは夢の中で、左に太陽、右に月を持つ、素敵な庭の夢を見ます。そして、4本足の雄鶏から、なぞなぞを7つ、渡されます。
1 だれかに、だめといわれても、こくばんにえをかくには、どうしたらいいか?
2 だれかさんだけのやぎって、なあに?
3 やねのうえのうまはみえる?
4 やくそくをやぶっても、とりかえしがつく? ・・・
 
それぞれのなぞの答えを、ひとつひとつ、ケニーはみつけていきます。
そして、最後のひとつ「ねがいごとをしてから、きもちがかわることないか?」 さあ、ケニーは、どう答えるのでしょう・・・
 
センダックさんが初めて文章も絵も描いた作品です。幻想的で繊細な雰囲気
amazon

 
ふふふんへへへんぽん! -もっといいこときっとある-
HIGGLETY PIGGLETY POP!OR THERE MUST BE MORE TO LIFE
モーリス・センダック作 神宮輝夫訳 
©1967 1987年12
中ページなど amazon(洋書)   キュリオブックスさん(洋書古本) 
 
「はじめ、ジェニーには なにもかも そろっていました。」
 
枕も櫛も目薬も、かわいがってくれるご主人も。
でも、ジェニーは退屈でした。
そこでジェニーは、鞄に持ち物を詰め込んで、世の中へと出て行きます。・・・
 
白黒の細密な線描画で描かれる、暗闇や、どこか不穏な雰囲気を感じさせるイラスト。
ジェニーは、非常に奇妙で危険な状況に陥るのですが、ついにもうだめ・・・というようなその時に、これまでの不思議がすーっとひとつに溶け合って、危機的状況は消え去るのです。そして、ジェニーは・・・。
 
ちなみに、この絵本の最初に「ジェニーへ」とありますが、「センダックの世界」(岩波書店)によると、ジェニーとは、センダックさんが25歳の時から14年間を共にした愛犬。
 
漢字無し 約
17.5×17.5cm 厚さ約1.5cm
amazon
icon icon 洋書の表紙7net
 
まどのそとのそのまたむこう
OUTSIDE OVER THERE
モーリス・センダック作 わきあきこ訳 福音館書店 
中の絵など 絵本ナビさん  amazon(洋書)
©1981 1983年 
 
「パパは うみへ おでかけ。」
 
ママは、お庭のあずまや。アイダは、赤ちゃんのお守り。でも、魔法のホルンを吹いている間に、ゴブリンたちが、赤ちゃんをさらっていったのです。・・・
 
はじまりは、パパを見送るママとアイダと赤ちゃん。そして、ゴブリン。それは、不穏な雰囲気の始まりです。平和な日常のはずなのに、そこには、闇が存在しています。
 
魔法、冒険、さまざまな要素が入り混じり、最後は、船乗りのパパのうたに導かれ、勇敢なアイダの活躍で、無事に妹を助け出します。
少しおそろしくもあるような始まりから、平和なラストへ。
 
一枚一枚の絵に、メッセージ(ストーリー)が詰まっていて、すごいなって思いながらみました。
センダックさんの絵本の中でも、透明感があって彫りの深い、こわくもあるようで美しくもある、とても印象に残っている作品でした。
しばらく発売されてませんでしたが、2006年4月限定復刊。
amazon
icon icon 7net
 
ミリー
DEAR MILI   (c)1988
ヴィルヘルム・グリム原作 モーリス・センダック絵 ラルフ・マンハイム英語訳 神宮輝夫日本語訳
ほるぷ出版
 
「むかし、夫に死にわかれたおんなの人が、ある村のはずれにすんでいました。」
 
小さな家に、一人の娘と住んでいました。女の人は、娘をとても大事にしていました。
けれどある日、激しい戦が国を襲い、その小さな家にも迫ってきました。
母親は娘を、どんな敵の手も届かない深い森の奥へ逃がそうと決心します。3日じっと待ってから、戻っておいでと言って。・・・
 
翻訳もやさしく、うつくしい物語。
原作は、1816年にヴィルヘルム・グリムさんが、母を亡くしたミリーという少女に宛てた手紙に添えられていたものだそうです。その物語りは少女の一家が所有、1974年売却され、1983年に出版社の手に渡り、この絵本となったのだそうです。
 
少し悲しい、けれど、愛や慈しみを感じる深みのある美しい物語り。読み終わったとき、じんと涙が浮かんできました。ヴィルヘルムさんが残した、最も美しい物語かも・・・という思いが浮かんできました。
 
最初、絵だけぱらっと見たときは、どこか不気味な感じがして読みそびれていたのですが、ちゃんとお話と一緒に読んでみると、センダックさんが、物語りを自分のものとされてから、絵を描いていらっしゃることを感じました。
 
深みのある美しい物語り。そして絵は、ある種の不気味さと神聖さが混在しているイラストだと思います。
 
23.5×25cm 38p 厚さ約1cm 漢字はありますが、全て振り仮名あり
amazon
icon icon 7net
 
夜、空をとぶ
FLY BY NIGHT
ランダル・ジャレル文 長田弘訳 モーリス・センダック絵 みすず書房
©Randall Jarrell 1969,1976 ©Maurice Sendak 1976 日本版2000年
 
「ニュー・ガーデン・ロードの最後の信号を右に曲がって、北に1マイル半ほどゆくと、農場のそばの池のところに出ます。」
 
その向こう、森の外れの家に、1人の少年が住んでいます。
彼の名前はデイヴィッド。夜になると、空を飛ぶことができました。
 
デイヴィッドの一晩のようすを辿る、ところどころに現代詩を思わせる表現もみられる文章に、センダックさんの精緻な線描画が6枚添えられた(5枚は1ページ、1枚は見開きの大きさ)、ミステリアス(不可思議でどこか神秘的)な印象の作品。
 
この本は、センダックさんが、お母さまと自分を描いたイラストがあることで知られているそうです。1枚の見開きの大きさの絵がそうです。印象的です。赤ちゃんだった頃のセンダックさんと、彼を抱くお母さまが描かれています。「センダックの世界」(岩波書店)で、その元となった写真を見ることができます。そっくりです。写真に一緒に映っているお姉さんとお兄さんは、この本では羊となって描かれています。
あと、少年が夜の家を浮遊しているところは、画風は違うけれど、「まよなかのだいどころ」のワンシーンがぱっと浮かびました。裸で浮遊する少年は、どこか胎児のようで・・・。
 
23.5×19cm 36p 厚さ約1cm
漢字は一般書並で全てふりがなあり
みすず書房さんの長田弘さんによる詩人が贈る絵本シリーズの1冊です。→みすず書房
amazon
Maurice Sendak
amazon(foreignbooks)   amazon   Rakuten Ichiba