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日本
 

石井桃子 いしいももこ
 
1907~2008年
1907年(明治40年)3月、埼玉県生まれ。1928年日本女子大学英文学部卒業(在学中から菊池寛氏のもとで外国の雑誌や原書を読んでまとめるアルバイトをする)。1929年文藝春秋社に入社。永井龍男氏のもとで「婦人サロン」などの編集に携わる(~1933年)。1933年のクリスマス・イブ、仕事で知り合い親しくなった犬養家で「プー横丁にたった家」の原書に出会う。その後、クマのプーさんとミルンの童謡集の原書を見つけ、少しづつ訳しはじめる。1934年新潮社に入社(~1936年)、「日本少国民文庫」の編集に携わる。1940年、最初の単行翻訳書「熊のプーさん」(岩波書店)刊行。1950年、岩波書店に嘱託として入社し、岩波少年文庫、岩波の子どもの本の企画・編集を担当する(~1954年)。1951年「ノンちゃん雲に乗る」(光文社刊)で第一回芸術選奨文部大臣賞受賞。1953年、戦後児童文学界における業績で菊池寛賞を受賞。1954年ロックフェラー財団の研究員として1年、アメリカ、カナダ、ヨーロッパへ。1958年、荻窪の自宅に「かつら文庫」を開く。1974年、発起人の一人となった東京子ども図書館が財団法人の認可を受ける。1976年、環太平洋児童文学会議で講演する。1993年、子どもの本の世界における長年の功績と業績に対し、日本芸術院賞が贈られる。1995年「幻の朱い実」読売文学賞受賞。1997年、日本芸術院会員となる。
(平成13年10月~14年2月に行われた杉並区立中央図書館「石井桃子展」の冊子、「石井桃子集7」より)
上記以外にも、編集者、翻訳家、作家として、幅広く活躍。2006年には百まいのドレスを改訳(すばらしかったです!)。2007年3月10日、桃子さん100歳に!2008年4月2日、桃子さん、101歳で逝去。
ももこさん、たくさんのたくさんの素晴らしい作品を、本当にありがとうございました。
日本語を、ももこさんからやり直したいと何度も思ったわたし・・・。子どもの本の中できらめく、ももこさんの日本語。ここちよく、すこやかで、ふくよかで豊かで、時にきらめく水のように少しの憂いさえも含んだ、うつくしい日本語。たくさんのたくさんの感謝をいつまでも・・・。


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ノンちゃん雲に乗る(福音館創作童話シリーズ)
いしいももこ文 中川宗弥絵 福音館書店 1967年
 
「いまから何十年かまえの、ある晴れた春の朝のできごとでした。」・・・
 
道の上の水溜りに映った空を見て、あ、空がここにもあるって、思ったことありませんか?わたしはね、あるんです、実は・・・。だから、この本を読んだとき、ちょっと、うれしかった。
 
物語りには、お兄さんやクラスメイトなど、ノンちゃんを取り巻くいろいろな人やものごと、その中にくるりとはいりこんでくる非現実のこと、そして、言葉になりきらないこどもの頃の行動や感情とかが、上手に上手に描かれていて、しかもそれは、なかなか出会うことができないような、やわらかでやさしい品のある日本語で語られ、さわやかなきらめきを放っています。
 
その文章と内容のすばらしさで、読みごたえのある、そして読後感もさわやかな、すてきな作品。
 
18×14cm 278p 漢字あり、全部じゃないけど振り仮名あり。小学中学年から
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三月ひなのつき
石井桃子文 朝倉摂絵 福音館書店  1963年 
小学校初級以上 22×20 95p
 
「よし子は、カバンをガタガタならし、息をきらしながらいそいでいました。」
 
どうしても、お母さんに話したいことがあったから。それは、お雛さまのことでした。
よし子は、十(とお)になります。けれどまだ、自分のお雛様を持ったことがありませんでした。なぜなら、お母さんが納得できるおひなさまが、なかったからです。それというのも、お母さんは、お母さんのおばあさまが、おとなりに住んでいた人形つくりのおじいさんに頼んで作ってもらった、心のこもったすてきなおひなさまを、ずっと持っていたからなのです。お母さんは、それをよし子に持たせたいと思っていたのです。けれどそれは、空襲で焼けて、なくなってしまっていたのです。
たった一人のために心を込めて作られた、すばらしい思い出がたくさんつまった雛人形に並ぶ雛などそうあるわけもなく、買わずじまいで、よし子は十になっていたのです。その上、おととしの三月三日、お父さんが亡くなっていたのでした。・・・
 
おひなさまをめぐる、お母さんとよし子のお話しです。
長めのお話し・童話ですが、朝倉さんのイラストがたくさん添えられて、絵本のような仕立てになっています。
よし子やお母さんの思いやこころが、しっかりと描かれていると思いますし、昔の日本の雰囲気がつたわる、だけどしっかりモダンなイラストも、印象的です。
そしておしまい、やっと、すてきなよし子のおひなさまに、二人は出会えたようですよ・・・。
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山のトムさん
石井桃子作 深沢紅子絵 福音館書店 1968年
 
戦争が済んで、まもなくのことでした。
北国のある山あいに、開墾の人たちの家が、ぽつりぽつりと、できました。そのひとつに、トシちゃんと、トシちゃんのお母さんと、お母さんのお友だちのハナおばさんと、おばさんの甥のアキラさんが、引っ越してきました。
そしてそこには、たくさんのたくさんの、どちらが家の主か分からないくらいたくさんの、ネズミがいたのです。
その被害に耐えかねて、ついにネコを飼うことにしたトシちゃんたち。そして、まちに待ったねこがやってきて、名前をトムと名づけました。・・・
 
これは、ももこさんご自身が、一緒に暮らしたねこのトムの小さかったころのことを、時々に書きとめておいたものからできあがった作品だそうです。
戦後まもなくの、決してらくでない、北の国の山あいの暮らし。その中での、四人と一匹の家族のようすが、本当にいきいきと、のびやかな文章でつづられています。
ふうわりとしたなつかしさを漂わせながら、いきいきとしてかわいい挿絵も、文章のもつ、いのちの明るさを照らしてくれているようです。
たいへん、苦しくもあった暮らしだと、思います。でも、この本は、その苦しさではなく、そのぶん深い一日一日の喜びや楽しかった気持ち、一生懸命生き抜いた一日一日の密度の濃さ、そして、強く輝くいのちの明るさを、感じさせてくれます。
 
自分で読む小学校中学年から  
石井桃子集2(岩波書店)にも収録されています。ただしこちらは挿絵はなし。
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幼ものがたり(福音館文庫)
石井桃子作 吉井爽子画 福音館書店 ©1981 2002年6月
 
「いったい、人間は、いくつごろからのことをおぼえていられるものだろう。」・・・
 
はじまりは1歳半(!)のころから、おしまいは1年生の時まで。
身内のひとたちのこと、ご近所さんたちのこと、四季折々の事、明治の終わりの頃のことなど、幼いももこさんの心に残っている風景が、70ちょっとの短い文章の中に描きこまれています。
それは、うっすらと暗かったり、でも確かに、ほんのりとあたたかく楽しげだったり・・・。彼女の心の風景に、ふれることができると思います。
 
小学高学年から、とありますが、さりげないようでしっかりと構築された、密度の濃い深い文章の味わいは、一般向けとしてもよいものだと思います。
 
挿絵入りです。「子どもの館」1977年4月号から1978年5月号まで連載された「幼なものがたり」の原稿に、加筆訂正されたものだそうです。
 
336p 17×13cm 小学高学年から 漢字には一部にふりがなあり
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石井桃子集1 ノンちゃん雲に乗る 三月ひなのつき
1998年9月 岩波書店
 
「ノンちゃん雲に乗る」と、「三月ひなのつき」のニ作品が収録されています。
福音館書店さんから発行されている単行本には挿絵があるけれど、こちらは文章のみが収められています。
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石井桃子集2 山のトムさん ふしぎなたいこ
岩波書店 1998年10月
 
ももこさんが文章を担当されていて絵本になっているお話しと、ももこさんが語られている昔話と、「山のトムさん」と「べんけいとおとみさん」が収録されています。
 
絵本になっているお話しは、「やまのこどもたち」「やまのたけちゃん」「いぬとにわとり」「くいしんぼうのはなこさん」「ありこのおつかい」、昔話は「ふしぎなたいこ」「かえるのえんそく」「にげたにおうさん」「おししのくびはなぜあかい」「うみのみずはなぜからい」です。
全て、文章のみが収録されています。
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石井桃子集3 迷子の天使 
岩波書店  1998年11月
 
「迷子の天使」を収録。挿絵などはなくて、文章のみを収録。
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石井桃子集4 幼ものがたり
1998年12月 岩波書店
 
「幼ものがたり」を収録。福音館書店さんから出ている単行本(上に記)には挿絵がありますが、こちらは、文章のみが収録されています。
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石井桃子集5 新編子どもの図書館
岩波書店 1999年2月
 
ももこさんの荻窪の自宅で試みらてきた子どもの図書館「かつら文庫」。
その7年間の歩みを一年ごとに分けて記されたものと、そこに来ていた子どもたちの記録、そこでの経験を通して感じた子どもの本についてのこと、海外の児童図書館のこと、子どもの図書館についてのこと、そして、この本の中に出てくる図書リスト。また、東京でかつら文庫を開くきっかけとなった、宮城県の山間にある小学校の子供たちと一緒に本を読んだ経験のことなども収められています。かつら文庫での、子供たちの様子を写した写真なども、添えられています。
 
子どもと一緒に本を読む(子どもたちを前にして、声に出して本を読む)中で気がついた、子どもの本にとって大切なこと、かつら文庫の活動を通して持った、具体的な本をあげての感想など、とてもおもしろい(興味深い)ことが、たくさん詰まっています。
子どもたちの貸し出しカードは、「心のカルテ」でもあると記されているのも、ああ、そうだなあ・・・って思います。
解説:松岡享子 
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石井桃子集6 児童文学の旅
岩波書店 1999年1月
 
Ⅰ 出会いの旅(1954-55)には、アメリカのロックフェラー財団の研究員として国外留学の機会を得た経緯、その旅のこと。
Ⅱ 再会の旅(1961)では、八島太郎さんと語り合ったり、先の旅で知り合った人たちを再訪された時のことなど。
Ⅲ イギリス初夏の旅(1972)は、エリナー・ファージョンやビアトリクス・ポターをめぐって。
Ⅳ 想い出を追って(1976・1979)では、1976年環太平洋児童文学会議に出かけた後にアメリカの旧友や図書館を訪ねた時のことと、1979年オズボーン・コレクションについて調べるために出かけたときのことなど。
 
といっても、記されているのは、児童文学研究の報告や記録といったものではなく、この本で主役・軸となっているのは「人」だと思います。
旅で出会った、子どもの本に関して真剣に取り組んでこられた、取り組んでいらっしゃる、人々です。(松居直さんはあとがきで、この本は「児童文学と本をこよなく愛した人びとへの、石井桃子の順礼紀行である」と記していらっしゃいます。)
そしてその中のあちらこちらに、本質をついた会話や感想などが書き留められていて、彼女の、子どもとその本に向かう思いや考えも、伝わってきます。
そういった人たちとの出会いと交流、その存在は、きっと、同じように深い志を持ち行動してきたももこさんの、心の支えというか、歩く道を照らす明かりのようなものでもあったのではないかしら・・・と、思いました。
解説:松居直
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石井桃子集7 エッセイ集
岩波書店  1999年3月
 
エッセイと、年譜、著作リストが収録されています。
 
エッセイは、「子ども・子どもの本」と、「忘れ得ぬ人びと・身辺雑記」に分けて収録されています。
年代順に収録されてはいませんが、一番古いものは1951年から新しいものは1999年のものまで。書きおろしの一編「A・A・ミルンの自伝を読む」も収められています。
 
「子ども・子どもの本」には、作家さんや作品に関するエピソードや、子どもや子どもの本に関してももこさんが感じていらっしゃること、などが記されています。
その中には、体が内側から揺さぶられるような言葉や発言も、見ることができました。ほとんど本当に打たれるような思いがしたり。はあ・・・!そうか・・・そうなんだ!と驚きと喜びが入り混じった発見があったりしました。
「忘れ得ぬ人びと・身辺雑記」には、桃子さんの日常や旅の途中などで身の回りに起こったこと、瀬田貞二さんや河野与一先生など、親交のあった人びとのことなどが記されています。
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石井桃子さんの翻訳、昔話の絵本など
くまのプーさん ピーターラビットの絵本 うさこちゃん、ブルーナの絵本 エリナー・ファージョンさんの作品 リダ・フォシェとロジャンコフスキーのペールカストールの本
ちいさいおうち エルシー・ピドックゆめでなわとびをする 百まいのドレス ビロードうさぎ 海のおばけオーリー
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